もり~ゆ 野巡りの日々、第3章

身近な場所を始め、自然のことなどを書いていきます。

植物標本を作ってみよう!!~西尾市岩瀬文庫体験講座に参加

12月23日、2回目の西尾市岩瀬文庫に出かけていました。

岩瀬文庫では「植物への恋文(ラブレター)~本草書から牧野富太郎の手紙まで」という企画展開催中(2月12日まで)ですが、期間中に学習会が開催されていて、その1回目「植物標本を作ってみよう!!」に応募、参加可能となったのでした。

こちらの企画展に協力された、豊橋自然史博物館学芸員Hさんより案内頂いたのでした。

本来その当日のみ参加でも良かったのですが、

午前に外せない家族の用事が入ることとなり、展示がゆっくり見られないかも、と思ったのでその前に1度訪れた記事がこちら。

morigaiisutekisizen.hatenablog.com

そして、23日、午前の用事が終わったその足で名鉄線に乗って再び西尾市へ。

コミュニティバスの丁度良い時間が無くて到着は少し遅れてしまいました・・・。

でも無事開催前に着席。

この日の講師は、東京都立大学牧野標本館にお務めの、加藤英寿先生でした。

この地域の御出身だと言うことです。

まずは加藤先生による身近なキク科植物の標本を見せて貰うところからスタート。

左からブタナ、オニタビラコセイヨウタンポポ

(標本は東京都立大学牧野標本館収蔵の物です。SNS掲載許可頂いていますが、その際には標本の収蔵先を明記して下さい、ということでしたので表記しています。

セイヨウタンポポの根は長くて、全部取りきれなくて植物の生き様を表現しきれなくて、植物に申し訳ない、とおっしゃる姿が印象に残りました。

右はウラジロチチコグサ(東京都立大学牧野標本館所蔵)。

種によっても違う姿であること、同じ種でも生息場所や個体によって違う姿を見せることや、表面だけでは見えない根の姿も重要、そうした「植物の生き様」をどのように表現していくかが大切だとの説明がありました。

ここから実践です。

     

グループ分けで、先生が指定された植物を、敷地近くの公園脇で採取、新聞紙に押していくまでを行いました。

私のいたグループはチチコグサを採取。上の画像右上の細い放射状の葉っぱ(ロゼット)がそれです。左下はウラジロチチコグサ。

根っこもちぎれないように慎重に掘り取ります。

軽く根に付いた土を洗い流し、新聞紙の上に乗せて水分をある程度取ります。

左がチチコグサ、右は他のグループの方が置いて見せたウラジロチチコグサ。

「違うね~。」の声が。

いざ、新聞紙に押して野冊に挟む段階で、牧野標本館のアシスタント?的な方が見て回られ、多すぎるので2枚に分けて挟みましょう、と手際よく仕分け・配置を。

Tさんもそうなのですが、標本作製に慣れている方の手際はとても良いです。

今回彫り取る作業をすることで、チチコグサは根からクローンを作っていくんだなということが分かりました。右下と左がそうですね。

この野冊は先生が工夫して作った物のようです。

その後、標本に添えるラベルについての説明があり、記載事項の意味する物の説明が良くわかりました。その後それぞれラベルに名前を書き、野冊に挟むまでが作業。後日先生が標本に仕上げて牧野標本館に収蔵されるとのことです。

ここからは、最新の標本作製で効率的に出来る様々な道具などの紹介がありました。

挟む用紙や圧縮する機械、そして採集時に持って行く様々な道具についての実演も。

色々な工夫をされているんですね。

そして、貴重な、牧野富太郎さんの残した標本も見せて頂くことができました。

何点か見せて頂き、その標本作製の丁寧な富太郎さんの仕事ぶりに皆さん見入っていましたね。

お子さんの参加もあって、興味津々に見ていました。

数々あるのですが、載せるのは一番差し支えなさそうなこちらを・・・。

東京都立大学牧野標本館収蔵)

葉っぱがとても細かいのですが、大抵押すときくっついてしまうのに、これは生きていた状態を良く表すように仕上がっていることについても言及されていました。

何かと言えば、あの植物、ですヨ。

はい、特定外来生物、オオフサモ。大分前から逸出していたんですね。

近所にもあって近々駆除予定です。

 

ここから再び加藤先生の標本を。

野菜や果物の標本!

左からパイナップル、リンゴ、右端はキーウィ、

(いずれも東京都立大学牧野標本館収蔵)

先生は野菜類などはなるべく買った物ではなく、栽培して標本にするそうです!!

それぞれの果実などの作り方も試行錯誤してされたそうで、その工夫話も面白かったです。

先生曰く、「野菜の標本の感想が講演後多くて、牧野標本について触れられない;」と苦笑されていましたが、どれも色々見ておいて良かったと思える物ばかりでした。

 

その他にも標本は自然科学の研究をする上で唯一の証拠となることや、様々な姿を残すことが大事なこと、地域の植物誌を作りたいこと、保全の上でも外来種の移り変わりの面でも意義があることなどを述べていました。

採取の際の留意点もありましたよ。

 

今回参加することが出来、勉強になりました。講師の加藤先生やアシスタントされた方、西尾市岩瀬文庫学芸員の方、皆様お世話になりました。

 

続きに、講座に参加してやはり感じてしまった葛藤とか、諸々のことについて書くことをお許し下さい。

(決して標本否定の意図では無いですよ。)


ということで、続きます。

(ブログ記載には細心の注意を払っていますが、何かありましたらお知らせ下さい。)