今現在、再開発問題で揺れている明治神宮外苑の件で、木の伐採反対のオンライン署名を立ち上げている、ロッシェル・カップさんによるツィッター紹介で知った雑誌です。
建築の雑誌で、相反しそうな木のことについて取り上げているのが意外であったのと、
この頃、豊橋の各地、豊橋以外の場所でも木が簡単に伐採されてしまってきている現状を見聞きするようになり、憂えていた頃でした。
ロッシェルさんによるオンラインセミナーでも、何故木が簡単に伐られるのかについて取り上げられていました。
この雑誌読むまで、時に行われる木の伐採理由で「倒木の恐れがあるから、枝が落ちてくるから」といったものを出されることが多く、それを言われてしまうと仕方が無いのか、と思ってしまうこともありました。
ところが!
この特集読むと、知らずにいた木の管理の実際や、伐らずに対応できること、そして日本と海外での樹木の捉え方や扱い方の違い、
改めて都市公園などでの木の重要性について等が良くわかったのでした。
剪定の実際について(なかなか素人では見た目では分からないこと)
まず、剪定の仕方が間違っていると、木を傷めてしまったり、枝の上の方で切り詰めてしまうと却って枝が密に茂ってしまうなどの逆効果があること、倒木の恐れがあるか否かは、海外では空洞率では無くて樹木の引張試験でデータを取り、診断・評価をした上で決めて、安易には伐採は行わないと言うことを知りました。
経験と知識を積んだ樹木医の存在も大きいようです。
近年、予算や時間が限られてしまっているため、丁寧では無い、無理矢理な強剪定にせざるを得なく、枯死を招きかねないが、管理側の理解が得られないという実情も読みました。
*豊橋市でも、予算で樹木医に充てる費用が削減されてしまったようで、そのことが
残念です。
こういった実情に関しては、一般の私達にはなかなか知ることがなかったのではないでしょうか。
街路樹などの管理の仕方の違い
そして現在日本では?樹木の枝が頭上を覆うと人様の迷惑(枝が折れて落ちるのではないか、という)だから、ということで、大きく茂った木は目の敵にされてしまう傾向が強いのですが、むしろ海外の公園などでは、ヒートアイランド緩和のために樹冠を拡大させることが求められているようです。木を伐る、という方向ではなく、簡単に折れたり倒れたりしない丈夫な木の育成を目指す方向に努めているようです。
*ここが本当に大きな違いですね。
この雑誌にもコメント寄せられている、千葉大学名誉教授、環境植栽学 藤井英二郎先生がロッシェルさんによるオンラインセミナーでは、外国での街路樹等の整備のために、樹木医などの専門職は移動はせず、長い年月勤務して樹木の管理に力を注いでいるようです。担当が数年で異動してしまう日本との違いです。
また、日本では倒木のリスクを過剰に捉えている向きが有り、そして適切な樹木管理の責任を誰も取りたがらない傾向にあることも、私の質問の中で答えて下さったのでした。
日本での実例は?
木に負担をかけてしまうだけの無理矢理な剪定のあり方の事例、公園の再開発に伴う市民合意の不在、そして冒頭には神宮外苑のことも載っています。
兵庫県立明石公園の城趾の石垣保護の名目で過剰に樹木伐採が行われて社会問題となり、市民の要望書やシンポジウム開催がきっかけとなって伐採が中断となったケースもあります。
東京は南青山のエンジュ並木のむやみな伐採更新を止めるために「エンジュの会」が結成され、樹のある場所の気温の定点観測や景観の普及の活動が実って保護が進んだ事例も載っています。伐採の理由になったのが落ち葉や花がら、枝が落ちるなどのクレーム対応なのですが、エンジュの会に東京都の管理者がクレームの旅に連絡して会員が清掃するなどしているそうです。
何と豊橋市、街路樹の保護と育成に取り組んで立派な街路樹の形成に努めてきたことで知られているようです!
オンラインセミナーの際にも藤井先生がそうおっしゃっていましたし、7月31日のアリーナワークショップに参加された方からも伺っているのでした。
そんな誇れる実績のある豊橋市で、その街路樹を損ねる動きやアリーナ計画があるというのは残念極まりないことだとも思うのですが。
近年の猛暑化に伴い、周りの気温を下げてくれる役割のある樹木、しかも年月を経て大木となった樹木の存在は益々重要な存在になると思います。
そして、適切なまとまりが有りバランスの取れた都市の自然なら、鳥や虫の生息バランスも取れ、生物多様性のある社会となり、子ども達の環境教育の場にもなります。
*今ならまだ注文可能と思いますので、企業組合建築ジャーナルさんに頼んでみては如何でしょうか。
尚、名古屋市栄の久屋大通公園について載っている「木を伐るな1」2018年1月号は在庫切れの模様、愛知県立図書館で見ることができるようです。