もり~ゆ 野巡りの日々、第3章

身近な場所を始め、自然のことなどを書いていきます。

さて、新アリーナ(多目的屋内施設)、実施されるとどんな影響が起こるの?

現在、豊橋公園の駐車場奥にある芝地にアリーナが建設、その周辺に立体駐車場や関連施設のリニューアルするなどの様々な計画が持ち上がっています。元は現在ある豊橋市神野新田町の総合体育館が老朽化・過密化となってきたため代替、または立て替え施設と言うところから始まり、いつの間にかBリーグ会場としての5000人規模の観客導入も含めた計画となっていったものです。

では、このアリーナ建設(多目的屋内施設)の建設が計画通りに行われたなら、どういったことが起こり、心配されるのでしょうか?

 

豊橋公園の樹木の3分の一が失われる!?自然が損なわれる!!

現在アリーナ等一連の再開発計画がある場所は、豊橋公園の東半分のエリアになります。

*今回市議の長坂尚登さんのブログ記事をこの記事では3点ほどリンクを貼らせて頂きました。

こちらの記事では、平成27年(2015年)当時の計画図が載っています。

*長坂さんの記事内容も是非ご覧下さい。こちらとは違った視点でアリーナ計画について語っています。他にも紹介しきれない記事が色々あります。

nagasakanaoto.blog.jp

こちらは豊橋市による平成30年の計画書のPDF。同じ図が最後のページに出てきますが、向きが違っているので見づらいです・・・。

https://toyohashi.jcpweb.net/wp-content/uploads/2018/10/d0cc9983c5ccf5affef9af0b6b0510f2.pdf

尚、最終的にどんな形になるのか、今の時点でははっきりしませんが、2021年7月の時の計画図(長坂さんの2番目のブログ記事に載っています)では、児童遊園、テニスコート、アリーナ建設予定地の芝地、武道館辺りの改変は行われるものと思います。

一度、豊橋公園Google Earthでご覧になってみてください。

公園の中の樹木がこの計画で行くと、最大で公園全体の3分の1程が失われてしまう恐れがありそうです!!中には年数を経て生きてきた大木も含まれます。

この計画が進んでしまうと、

・吉田城趾がある側の公園は開発はされませんが、まとまりのある連続した樹木が失われることで、その場所の環境もさらなる乾燥化が進む恐れがあること、

・開発予定地・または隣接地で資材が置かれるなどして、公園内に自生している、本来山地自生の分布上貴重な植物の生息にダメージを与える恐れが出てくる、

・公園内に生息、または渡りの中継地として立ち寄る鳥類にも影響が出る、

・公園の、特に東側での樹木伐採によるヒートアイランド化が進む、

等の恐れが生じる可能性があります。

市の環境保全計画の中に位置づけられているはずの豊橋公園の自然環境の内外部が大きく脅かされてしまうのです。

また、アリーナが建設されイベントなどが開催時には混雑や騒音などで周辺住民の方の生活環境が脅かされる恐れも生じます。

 

現市長の公約破りの計画、最初から市民不在の計画

この計画は前佐原豊橋市長により進められてきましたが、2020年の市長選に立候補された浅井現市長が「アリーナは見直し」を公約の一つに掲げ、佐原氏を破って当選。2020年12月10日の市議会一般質問の際にも、まずは市民体育館の老朽化・過密化の解消のために、市民からの幅広い意見を聞くことや、情報の幅広い公開をするということ、一旦ゼロベースから始めると言うことを市長自ら、そして市の関係部署の方からも答弁があったのでした。

*私はその時傍聴に来ていましたので、その頃の記事も書いていますよ。

morigaiisutekisizen.hatenablog.com

豊橋市による、その当時の市議会一般質問の記事録はこちら。

最後から2番目の尾崎雅輝議員の質問の所で読むことができます。

ssp.kaigiroku.net


所が、それからしばらくして、突如、何の途中経過での意見募集も情報公開も無いまま、2022年5月30日に従来の計画のままでの発表がなされました。


www.city.toyohashi.lg.jp


もっと更に驚愕する事実が出てきたのが、2つめのの長坂さんのブログから。

nagasakanaoto.blog.jp

つまり、2021年3月に基礎調査が終わり、その後の翌2022年5月30日の発表までの間の2021年7月に、場所の再検討のないまま、豊橋公園での開催案を愛知県に打診していたことになります。

浅井市長に関しては、当選後の様々な公約破り、コロナ対策に関しての不備や無関心など様々な諸問題がありますが、今回も最も顕著なものではないでしょうか。

そして、佐原市長の頃からこのアリーナ計画は、最初から市民不在の形で始まり、そして浅井市長の下でも依然続いてきていることになり(それも酷い形で)非常に大きな問題です。

 

運用の課題

元々、駐車場も限られ、最寄りの交通機関が市電のみという豊橋公園で、5000人規模のイベント会場設置自体が無理があるように思うのですが、実際に運用したとしてその採算性が採れるのかどうか疑問が残ります。

近隣の静岡県浜松市でもアリーナの計画があり、県内でも安城市に民間でですが計画があります。

豊橋の計画上でBリーグ会場として5000人集客が期待されている現在三遠ネオフェニックスの現在の集客数は1回に着き2000人以下という現状ですし、コンサート集客規模としては厳しい数のようです。

6月の市の予算審議会で長坂さんが指摘した他のアリーナ計画との比較内容がこちらのブログに載っています。

nagasakanaoto.blog.jp

日本各地で立地や規模で豊橋よりも遙かに優位な場所でアリーナ建設計画(良いか悪いかは別として)がされている現状の中、無理矢理豊橋公園に建設する意味はあるのでしょうか?

 

PFI手法やBT+コンセッション手法の問題点とは

豊橋公園で計画されているアリーナ建設は、PFI手のBT+コンセッションという方式で、所有者は市のまま、しかし設計や建設、運営は民間企業が行うという手法をとるようです。これを進める側としては、市にかかる金額が抑えられるというメリットを強調していますが、実施されると公共の、市民のみんなのための地形であるはずのものが、実際にはその手がけた民間企業の利益手動の形で進んでしまうことになり、結果、市民の誰にとっても役に立つ施設にはならない恐れが出てきます。実際、次で挙げる東京の明治神宮外苑開発の一つ、秩父宮ラグビー場立て替えでは、本来はスポーツのための施設であるはずが、実際には開発会社の三井不動産などのオフィスや宿泊所などの商業施設が入るなど企業のための施設計画になっているようです。

利益が優先となったら、公的に守られるはずの自然環境や史跡も失われる恐れが大きくなることも指摘されています。

また、運営は後々の50年、100年の将来のことを考えた内容にはならない事も指摘されています。

 

日本の至る所で起きている問題の一つ

現在、日本各地の都市公園の再開発計画が起こっていますが、中には問題点が指摘され、反対運動が起こっている場所が数々あります。

現在、争点となっている、東京都の明治神宮外苑再開発に伴う1000本の樹木伐採問題では、その外苑の中の秩父宮ラグビー場細建設計画はやはりPFI手法での計画ですし、

京都府立植物園の再開発問題はPPP手法と呼ばれるやはり民間会社が参入する方式で、アリーナ建設と共に進める開発計画が本来の植物園の姿が損なわれる懸念が生じています。

名古屋市栄の久屋大通公園再開発もPFI手法で、かなりのケヤキを主とした街路樹が伐採されてしまっていました。

豊橋のアリーナ計画は最新でも何でも無く、日本各地で同じように起こっている問題の一つで有り、その結果、同じような民間の営利目的の運営による、その地域らしさ、豊橋らしさ、豊橋公園の歴史や自然を失わせるものになりかねません。

 

都市公園は、豊橋公園は誰のもの?

振り返って、豊橋公園はかつては吉田城が建てられ、火事で焼失した後、歩兵第十八連隊として戦争のための場所となり、終戦後平和になってから、現在の姿となりました。

数々の経緯を辿って、自然と平和を象徴するかのような公園となっているこの場所は、一部の政治家や、企業のためのものでは無く、豊橋市内外の老若男女皆のものであるはずです。そして、軽視されがちですが、忘れてならないのはそこに共に生きている樹木や鳥や虫などそこに残されている生き物たちのものでもあるはずです。

海外ではこのような歴史と文化、自然が残る場所は大切にされ、安易な改変は行われないようになっているようですが、日本はその流れからは遅れているとの指摘もあります。

市街地に有りながら、鳥が行き交い、カニも見られ、永年の時を経てきた巨木が数々あり、人々が憩いの場としてきていたこの場所の姿を残してこそ、SDGs未来としての姿ではないでしょうか?

この計画はやはり一旦立ち止まり、少なくても2021年3月の基本調査の段階まで戻って見直しをするべきであると思っています。