もり~ゆ 野巡りの日々、第3章

身近な場所を始め、自然のことなどを書いていきます。

どうしようもない番外編 惑星もり~ゆの茶の間から ナウシカともののけ姫~2もののけ姫が好きな訳

宮崎駿監督アニメは数々あり、その後の「千と千尋の神隠し」ではアカデミー賞も取っているほどの人気で、もののけ姫は残念ながらそこまでに至らなかったのに、私は「千と千尋・・・」よりも断然こちらの方が好きなのです。

 

千と千尋の神隠し」の方が日本的な要素を持ちながらもエンターテイメント的な要素が多くて、お話の展開も海外の人にも分かりやすい、と言うのがあるのでしょう・・・。

 

何故、私はもののけ姫の方が好きかと言えば、、

 

日本の自然が良く描かれていること。

アシタカは東の方の住人、一方もののけ姫サンや山犬、タタラ場の人たちは西の方の住人なのですが、

アシタカの住む東から物語は始まるのですが、そこに描かれている森はブナ林なのです!この樹の幹の感じはそうだよね~!!と見た瞬間嬉しくなりました!

やがて呪いを解こうと、森から某所有名な広大な湿原を思わせる場所をヤックルに乗って旅をし、カワセミが飛ぶ川を渡り、高山地帯を登るような場面があり、やがてシシ神の住む西の森に来た時点で描かれている木々の葉っぱの感じが照葉樹だと分かってこれも嬉しかったですね。

シャクナゲの花とか、岩場のサツキらしいツツジとか、植物の描写も細かくて素晴らしかったです。

この作品を作るに当たって、宮崎さんは屋久島にも取材に行ったそうです。また森の「音」を録音しに行ったのが我らが住む愛知は現新城の鳳来寺だったというのが驚きです!(映画のエンドロールに鳳来寺山自然科学博物館とKさんのお名前が出てくるゾ)

東と西の文化の違いなんかの片鱗も伺えました。

カヤがアシタカに渡した小刀は黒曜石の小刀。

そして、ジコ坊が携帯している椀は陶器に対して、アシタカのはちゃんと漆塗りの木の椀なんですヨ!「雅な椀だな、」と言わせるほどの。

陶器は西日本から発展だったと思う。一方、森の中で狩猟などしながら(畑なども既に縄文の頃から行っていたらしいですが)暮らしてきた東日本では木地師によって木から椀や生活道具が作られてきたので。

ただ、、宮崎さんもロマンアルバムアニメージュ徳間書店で、アニメ作品で人気を博した作品についての特集本)で書いていたと思うのですが、時代設定などは曖昧になっています。

 

舞台設定もですが、お話しも単純な正義と悪じゃないんですよね。

森を切り開かれることでの太古の獣たちの怒りや呪いがあり、その呪いをアシタカは受けてしまったわけですが、その森を切り開いたエボシ御前やタタラ場の人たちが悪者というわけではないんですな。

タタラ場の人たちは皆懸命に日々を生きているわけで、エボシも対峙する獣や戦を仕掛ける侍に対しては容赦が無い面もありつつも、売られた娘たちを皆引き取ったり、らい病らしき病人達の世話や、自立のための正統な仕事を依頼したりする面もある。

ジコ坊でさえ、坊さんなのに欲深でありながらも悪人にはなりきれない・・・。

獣たちは獣たちで切実な想いを持っていて・・・。

そんな中でアシタカ、苦悶しそうなんですが誰をも憎むことなくよかれと思う方向を進もうとしているのです。それは呪いの苦しみを解きたい、という利己のためを越えてしまっている。

サンも結構好きです!エボシと戦う場面は迫力があり。声の石田ゆり子さんがこの辺り大健闘していたと思います。

 

この前映画館で上映されるとあって(他にはナウシカゲド戦記など)、真っ先にこちらを観に行ったのです。

そこで心に残った場面が、エボシの部屋で包帯で全身覆われた長が

「生きることは真に苦しく、辛い、世を恨み、人を恨み、それでも生きたいと願う・・・。」と語る辺りでしょうか。

「あまつの物を欲するのは人間の業だ」のジコ坊のセリフもなんか考えるね;

東では、森と共に生きていく暮らしだったと思いますが、西では森と人との暮らしは分かれたものとなっていて、森を切り開く→光が入って豊になる、森から人が来ることは物の怪なんじゃないかと恐れられる、などその見方が違うことが描かれていますが実際のブナ林帯の東と、シイ・カシ文化の西とでもそんな感じだったのだろうか?

 

人間と自然とのせめぎ合い、人と生き物との対立、そこの歩み寄りというのか程よい棲み分けというのか「共に生きていく」方法はあるのだろうか、、

(それは現代にも続いてきてしまっているのだけれども)

 

さあ、アシタカ、これから大変だけど頑張ってください、健闘を祈る(笑)。

 

タタラ場で働く女性達が生き生きとしていたのも良かった。おトキさんの声の島本須美さんは、ナウシカクラリスの声を演じた人ですよ。でもおトキさんの様な威勢の良い役も似合っていると思いますね。

 

昔の時代(設定は曖昧)で起こってきたであろう、そして今も形を変えながらそれは続いている、人と自然、そして生きていくことのテーマが描かれている所に魅力を感じるのだと言えますね。

 

次回はナウシカ原作との共通点などを書いてみますよ。